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  <鉄欠乏性貧血のメカニズムと対応策>  
     
 

鉄欠乏性貧血とは、体内の鉄が不足する事で起こる貧血です。貧血全体の7割を占めています。
体内の鉄分が不足すると、赤血球中の色素たんぱく質『ヘモグロビン』が作れなくなります。
ヘモグロビンとは、鉄を含む色素『ヘム』 とたんぱく質『グロビン』が結合したもので、鉄分不足により『ヘム』が作れなくなります。
その結果『ヘモグロビン』も作れなくなります。

『ヘモグロビン』には 酸素と結合したり離したりする性質があります。
その性質から、体内において『ヘモグロビン』は肺で酸素と結合し、体内の毛細血管を通って各組織に酸素を運び、その組織で二酸化炭素と結合し二酸化炭素を肺に送る働きをしています。

成人の体内の総鉄量は 約4000mg (4g) あります。この約70%がこの赤血球中のヘモグロビンです。これを『機能鉄』といいます。約25%は、肝臓・脾臓・骨髄・筋肉などに蓄えられている鉄:『貯蔵鉄』、約5%は、皮膚・粘膜・毛髪・爪などに含まれている鉄:『組織鉄』です。体内の鉄量が不足し始めてもすぐに 貧血にはなりません。まず『貯蔵鉄』が補います。『貯蔵鉄』のストックがなくなると本格的に貧血症状が現れます。

体内鉄量の多くを占める赤血球は寿命がくると脾臓で破壊されますが、その時ヘモグロビンに含まれている鉄のほとんどはリサイクルされます。
1日に消費される鉄量は汗・尿などと共に排泄されるものと、皮膚・粘膜・毛髪・爪の生成に使われる鉄量です。この量がわずか1mgです。
(※月経のある女性の場合、1回の月経で失われる鉄量は約25〜30mg位あるので、1日の消費鉄量が1mg以上のことがあります。※)

このことから1日に必要な鉄分はわずか1mgに過ぎないのです。ただし鉄は摂取した10%しか吸収できません。
よって1日に必要な鉄量は、成人男性10mg/日、成人女性12mg/日とされています。

鉄欠乏性貧血の症状は酸欠状態であることから『動悸・息切れ・頻脈・疲労感・集中力低下・めまい・立ちくらみ・頭痛・顔面蒼白』『組織鉄』不足により『爪…表面が凸凹、縦に線が現れる、もろくなる、スプーン状に反り返る』『舌炎、口内炎、口角炎』等です。

 
         
    鉄欠乏性貧血の原因
鉄欠乏性貧血の大きな原因は次の4つです。
@食生活での鉄不足(欠食・偏食・無理なダイエット・外食やインスタント食品の多食による鉄や栄養素の不足)
A鉄需給の増加 (妊娠・授乳期は胎児の成長や母乳分泌に鉄が多く必要になる為、不足しやすい)
(※思春期女子は、急激な成長により血液量が増加し、鉄の需要増加に供給が足りなくてなる場合がある)
B出血による不足 (月経過多や潰瘍・痔・がんなどによる消化管出血が原因になる)
C鉄の吸収障害(胃酸の分泌不足により鉄の吸収障害が起こる)
@Aは食生活の改善、栄養バランスのよい食事を1日3食とり、鉄分を十分に摂取する事、BCの場合はそれに対する適切な治療が必要です。
食べ物から摂取できる鉄量が限られているので、治療は食事療法と鉄剤の服用の併用になります。
   
         
    鉄分を摂取するには
食物の鉄分は 『ヘム鉄』 と 『非ヘム鉄』 があります。

『ヘム鉄』・・・肉や魚介類などの動物性食品に含まれている
『非ヘム鉄』・・・卵や乳製品などの動物性食品と、大豆、野菜、海藻、穀類などの植物性食品に含まれている

『ヘム鉄』は 鉄(Fe)とポリフィリン環にて形成されています。この構造のおかげで胃壁や腸管を荒らさずに、タンニンや食物繊維の吸収阻害を受けずに吸収されます。ただ『ヘム鉄』を多く含む食材は高カロリーのものが多いので、『ヘム鉄』だけで1日分の鉄を摂取するのは難しいです。
(※タンニン…お茶やコーヒーに含まれています。タンニンは鉄と結合し、水に溶け難いタンニン鉄となり吸収を妨げます。)
(※コーヒーやお茶を飲む場合、食後1時間後にした方が鉄の吸収にはいいです。)

反対に『非ヘム鉄』は 鉄(Fe)がむき出しの構造なので、胃壁や腸管を荒らす事があります。
また、腸管から吸収する際、タンニンや食物繊維の吸収阻害を受けてしまいます。
この『非ヘム鉄』の吸収を助ける栄養素がビタミンCと動物性たん白質です。ビタミンCは『非ヘム鉄』をその還元力により 鉄を吸収しやすい形に変えます。動物性たん白質は『非ヘム鉄』が消化管内で溶解するのを助ける働きがあり、鉄が吸収され易くなります。この働きは牛肉やまぐろなどの獣鳥魚肉の動物性たん白質にあります。しかし、ゆで卵や牛乳・チーズなどの乳製品のたん白質には、その働きがありません。反対に鉄の吸収を妨げる作用があります。

<鉄分の多い動物性食材(食品100g当たりの鉄の含有量)>
豚レバー(13g)、鶏レバー(9g)、牛レバー(4g)、あさり(生)(3.8g)、ホタテ貝(生)(2.2g)など

<日常に使用する動物性食材100g当たりの鉄含有量>
豚肉の場合・・・・・・肩脂身付き(0.5g)、肩赤肉(1.1g)、肩ロース脂身付き(0.6g)、ロース脂身付き(0.3g)、もも脂身付き(0.7g)
鶏肉の場合・・・・・・もも皮付き(0.9g)、むね皮付き(0.3g)、ささ身(0.6g)、手羽(0.5g)
牛肉の場合・・・・・・肩脂身付き(0.9g)、肩赤肉(2.7g)、肩ロース脂身付き(0.7g)、もも脂身付き(1.0g)
卵・・・・・・・・・・・・・・1個50gとして約0.9g/個
塩サケ切身(0.3g)、真サバ(1.1g)、真アジ(0.7g)、かつお(生)(1.9g)、マグロ(赤身、生)(1.1g)・・・・・・など

<鉄分の多い植物性食材(食品100g当たりの鉄の含有量)>
ひじき(55g)、きくらげ(32.5g)、焼きのり(11.4g)、ごま(9.6g)、乾燥大豆(9.4g)、高野豆腐(6.8g)など


ビタミンC、動物性たん白質以外に、『胃酸』も鉄の吸収に不可欠です。
リラックスした中でよく噛んで食べると胃酸がよく分泌されます。
また酢、梅干し、柑橘類など酸味のある食品も胃酸の分泌を良くします。